「デフレ時代の勝ち組」考

再びのデフレ到来で、ひとり勝ちしそうなエム印のハンバーガーなのだが、そこの経営者のモットーは、「10人から10円ずつもらうのではなく、100人から1円ずつもらうのがうちのビジネス」だそうだ。一人あたりの利益は少なくし、その分を売り上げの増加で賄うという薄利多売の原則をより徹底させよということなのであろう。
消費者にとってはありがたいことだろうが、売り上げを奪われる側としたら、たまらない。別に他のファストフードチェーンやコンビニ弁当の売り上げがいかに奪われようと、私の知ったことではないが、今まで庶民に昼食を提供してきた市井のそば屋や弁当屋といったささやかな小商いも、相当な打撃を受けているに違いない。そうした商店の貴重な売り上げと利益が、ハンバーガー1個わずか数円の利益のために奪われているのだとしたら?? エム印の躍進ぶりを聞くたびに、全国津々浦々から悲鳴が聞こえるかのようである。
利益という経済指標から見れば、10人からの10円も、100人から1円も、同値だろうが、社会的には前者の方がベターである。
それにしても、エム印の前の行列を見るたびに、この国に自覚的な消費者など存在しないのだな…と、嘆息交じりに通り過ぎるのみである。
別に商店街の維持とか、肉食による地球温暖化の促進とか、途上国の食糧難とか、マックジョブによるワーキングプアの増大とか、名ばかり店長の問題とか、他人のことは一切考えなくていい!! そもそも自分の健康に良くないとは、思わないのかい!?