隣は何を食う人ぞ

 連休中、中華街に行きました。普段居酒屋でしか外食しないので、店の選択には緊張しました。それに昼の野球観戦でもともと少ない予算の大半を使ってしまいましたので。こういうときの悪夢は、もしも隣の席がフカヒレや北京ダックでこっちがラーメンだったら…というケースです。
しかし、中華街はたいへんな人出ですね。多くの店で行列ができていました。とりあえず入店し、最低価格のコース料理を頼むと、小さな皿に盛られた炒め物や麻婆豆腐などが出てきました。これじゃあ、いつもの居酒屋料理と同じだなと思いつつ、あたりを見渡すと、家族でチャーハンを取り分けて食べていたり、グループで餃子をつついていたりと、どこも似たようなお客ばかりで、なんだかかえって安心する次第です。(メニュー表には相当高いものもありましたけど。)
大行列も2000円前後のバイキングの店ばかりだったと思います。店を出るころには、あれほどひしめいていた観光客もすっかりいなくなっていました。「人出は多いけど、安いものしか売れないね」などという店主たちの嘆息が聞こえてきそうです。個人経営の中小店がひしめく中華街を応援したい気持ちはありますけど、なにせこちらも先立つものがありません。
社長さん方、今の時代、商売をやっていて家賃と経費を払って自分の取り分が残れば十分うまくいっていると思いますよ。ここにいる人たちだって、せっかく中華街に来ても麻婆豆腐や中華まんを食べるのが関の山なのですから。まあ、なんとかお互い、身の回りにお金を回して生活を維持していきましょう、と勝手にエールを交換しつつ街を後にしました。
しかしながら、「それにしても、こんな豪勢なホテルでラーメンの晩飯とはわびしいな。」「この星の人は、ラーメンも食べられないほど貧しいの。我慢してちょうだい。」「もう二度と言わないよ。」(『銀河鉄道999・テレビ版』のセリフ)などという会話が再びリアリティを持つ時代になるとはね…。