古色蒼然ドラマはもうたくさん

 『官僚たちの夏』がまたぞろドラマ化されていますが、どうにもこうにも、図式が古くて単なる回顧趣味を通り越し、時代錯誤・あるいは自慰行為にすら見えてきます。
 戦後日本はこうして追いつけ・追い越せ路線を来たわけですが、当のGMは事実上つぶれてしまいました。それも経営陣がとりわけ無能だったわけではなく、先進工業国の宿命ともいえるレガシーコストでの自沈という側面があり、これは日本企業とて無縁ではありません。
 昔の日本人は頑張った…。いえ、今の日本人だって頑張っています。でも、コストに追いつく稼ぎなしというわけで、中国は同じ製品を半額以下で作ってしまいます。それも、中国人が格別優秀というわけでもなく、労賃が安いからという割合が大きいわけです。
 優秀な官僚がリードして、真面目な経営者がそれにこたえ、勤勉な労働者が働けば、何もかもうまくいった時代とは、文字通り何もかも違うのです。
経済成長に代わる、新たな社会のモデル作りに悩んでいるときに、あんなドラマを見せられても、カラ元気すら出ないうえに、気分まで悪くなってしまいますよね…。

追記
 ひょっとして《視聴者の皆さん、日曜の夜ぐらいは昭和ノスタルジアでお楽しみください。月曜からは(私どもも含めて)ロクなことがないでしょうから…》という配慮でもあるのだろうか???