経営における後退戦の必要性について

 いやー、驚きました。巨大ビールメーカーの合併話です。いわく、合併した上でさらに競争力を高めたいと…。私が勤務しているような中小零細企業から見れば、はるかに巨大な会社同士が合併してさらに巨大になってどうするの?? というツッコミもしたくなります。
 しかし、そもそもビールという日々欠かせない飲み物が、国内の4社によってほぼ独占されているというのも、おかしな話です。同じお酒でも、日本酒や焼酎は、国内に数千社あるのと対照的です。
 大手ビール会社は、国内での需要が頭打ちなので、海外への進出を狙っているそうです。それに対して日本酒や焼酎をつくっている中小の酒蔵は、しぼみゆく国内市場にしがみつくしかないわけで、気の毒なことに発展性はなさそうです。もっとも将来に希望を見出せないのは酒業界に限らない話で、日本の多くの企業も同じ状況に直面しているといえるわけです。
 海外進出に望みを託せる企業は、全体のうち何パーセントあるのでしょうか?? 多くの企業にとっては、今後も国内で商売するしかないわけですから、攻めの経営などできるわけありません。
となると、守りの経営が重要となってきます。業績アップはのぞくべくもない。でも、せめて社員の雇用や地域の経済を守りぬくという姿勢です。
 これらは、戦闘に例えると、「後退戦」といってもいいでしょう。リストラや倒産といった全面崩壊を避けつつなんとか事業を継続させゆく。日本の大多数の企業にはこの後退戦術を一刻も早く身につけることが求められるのではないでしょうか。