講師室は満員です。

 私が勤務する学習塾は、授業時間以外も生徒が自習できるように教室を一部間仕切りして、自習部屋のようなものを設けている。でもなかなかどうして、この部屋を使う生徒はあまりいない。大人の感覚でいうと、静かな部屋を用意して集中力を高めれば、学習効果は上がりそうなものではあるけれど…。
子どもに言わせると、「あれこれ質問したい」「辞書や参考書を取り行くのが面倒」「少しネットで調べものをしたい」等々、何かしら理由をつけて、講師室に集まってきてしまう。
百ます計算の例の人と住宅メーカーが共同開発した「子どもが賢く育つ家」(積水化学工業)というものがある。子どもが勉強しやすくかつ、母親が見守りやすくするために、キッチンに勉強机をくっつけたというものらしいが、実態としてはこれに結構近い。しかも「賢い家」は小学生低学年を対象にしたものだが、わが塾では、小学生に限らず中学生も高校生も結局みな同じところに集まってきてしまうのだ。
したがって受験期ともなると、下は小6から上は高3までが、12畳ほどの講師室の机という机に張り付き、テキストやらノートやらプリントやらを広げて、あーでもないこーでもないとやっている。そして私は、異常な人口密度の中、生徒をかき分けながら授業準備やら下調べなどをやることとなる。
人はひとりでは生きていけないのと同様、ひとりでは勉強できないものなのでしょうか?? でも諸君!「人間、生まれて来る時と死ぬ時と、試験を受ける時はひとりっきりだよ。すこし孤独に勉強したまえ」とでも言いたくなる毎日です。