日本と対戦したカメルーンの代表チームの選手は、みんな国外のチームで働いているそうです。カメルーンには国内リーグはないそうです。国内経済は破たん状態ですので、すこしでも有望な選手はヨーロッパを目指すと言います。
サッカーはグローバル化が最も進んだスポーツの一つと言えるのではないでしょうか。そうなると、国外に散った様々な有名選手が同じ国旗の下に一堂に会すワールドカップは、いわば4年に一度の「同窓会」とでも言えましょうか。普段はそれぞれのチームの旗を仰ぐ選手たちが、4年に一度母国の国旗を仰ぎに集うのですから。
グローバル化した時代において国家の役割はその程度のものかもしれないな…とも思います。世界中でプレーして、たまに母国に戻り、国を背負って戦う。暫しの戦いののちその緊張状態はたちまち弛緩して、おのおのの任地に戻る。一流サッカー選手はそんな感じではないのかなぁ…と想像します。
ですが一方、母国に残らざるを得ない大半の人々は、貧困にあえぎながら、4年に一度戻ってくる一流選手たちを心待ちにし、圧倒的な格差をしばし忘れつかのまの一体感を享受する…とでも言えましょうか。ひとしきり国旗を振り、国歌を口ずさむ。
世界をまたにかける一流選手(=一流ビジネスマン)と、母国に縛りつけられた多くの貧しい人々。グローバル化した世界のまったく異なる階層を、ワールドカップに垣間見ることになりました。そしてそれは、私たちの未来の姿であるかもしれません。