ある中間団体の終焉

 相撲協会もいろいろと大変ですね。次から次へと不祥事が発覚し、今度は賭博行為ですか…。仲間内でのかけ事ならともかく、一回当たり数百万円のかけ金と「反社会的勢力」との結びつきがあっては、非難を逃れられないですよね。
また今回の賭博問題は、相撲界をとりまく現金主義が招いたとも指摘されています。ご祝儀やかけ金は銀行口座などを通さないから、資金の経路は不明確ですし、脱税の温床にもなるようです。
 先ごろ財政破たんの危機に陥ったギリシャも、現金主義と脱税が横行し、一般的な所得税も消費税も相当数が徴税を逃れているそうです。現金と違法体質はなんだか相撲界を見るようでもあります。
 ところで、高福祉のお手本であるスウェーデンでは、税金が高いのはもちろん、個人所得ですら透明化されているそうです。全国民の課税所得は公開されており、なんでも電話一本で隣人の所得と納税額を調べることも可能だとか…。(6/28の朝日新聞の別刷り「GLOBE」から)
 政府にそこまで管理されてしまうというのも、私たち日本人からみると一種異様な感じがします。北欧型高度福祉国家とは、監視社会・管理社会と同義語と言っては過言でしょうか? ヤクザやマフィアが闊歩する世の中も御免ですが、個人のお金の流れまで完全に把握されてしまう社会もどうかと思います。
 しかしそれにしても、相撲協会も自浄能力がないですね。相次ぐ不祥事でとうとう命数を使い切ってしまった感じです。以前ならここまで事態が悪化する前に「実力者」が出てきて、それなりに調整してきたように思えます。「ここはワシがなんとかする。お前らもいい加減しろよ」とでも言って、たしなめたわけです。時に違法や脱法行為もあるでしょうが、全体としてある程度の秩序と公平さが保たれれば良いわけですから、それは中間団体による自治といってもいいでしょう。
そうした自治能力がなくなると、結局は警察なり検察(理事長代行は検察OB)なり裁判所の出番となります。「コンプライアンスの強化!!」などという名目の下、何もかも「見張られる」社会は、相当息苦しいものとなるでしょうね。