周回遅れかもしれないけれど…

 「コンクリートから人へ」に代表される初期民主党政権が、結局何をしたかったのか、いま一つ不明確だったかもしれないが、その目標のひとつがヨーロッパ型福祉国家の建設にあったと言えば、納得していただけるであろうか?
戦後日本は若く成長期にあったから、教育・住宅・老人福祉といった費用の多くを個人と家庭の負担に頼っていられた。またその負担分を企業が、年功賃金制による賃金の上昇という形で補てんすることができた。
グローバル化にさらされた今日の企業に、もはやその体力はない。したがって子育てや教育といった分野への、財政による支援が必要である。それはすなわち(スウェーデンまでとは言わないまでも)ヨーロッパのような社会を目指すことであり、その象徴が「子ども手当」であった。
 しかし当のヨーロッパ諸国を見ればわかるように、どこの政府も財政難で一斉に政府支出の見直しを迫られているし、日本の財政ももはや左前である。
 つまり、この転換は遅きに失したというべきであろう。どれくらいかというと、恐らく20年くらい…。バブル経済という戦後経済成長の最後の形が潰えたときに、その転換を始めるべきであった。公共事業と一時的な景気対策に数百兆も使うことなしに…。(その意味でも失われた20年という言い方は正しい)
 現民主党政権は、財政再建と福祉の充実という二律背反に苦しんでいるように見える。消費税アップという現実路線も打ち出しかけたが、国民の反発は強いし、経済情勢が今後もずっとこんな感じならば、増税のチャンスはもう来ないかもしれない。
 となると、とるべき道は一つしかない。政府の無駄をひたすら削り、浮いた部分を福祉と財政再建にまわすことである。特別会計を含めたドラスティックな削減ができるであろうか??? 民主党政権の第二幕が始まろうとしている。