ミケや

内田百輭の『ノラや』を読んでみる。ノラは何処かへ行ってしまったが、クルは家で最期を迎えた。やせ衰えていくクルツの姿が12年前に死んだ犬のコロに似ていて目頭が熱くなる。百輭の姿にも。思えば生きものの面倒をみるというのはコロ以来である。
夜更けに読んでいるうちに、うちのシロ、グレ、ミケはどうしているかと急に不安になり表に出てみる。家人にアレルギーがあるためこの三匹は外で飼うしかない。懐中電灯で照らすとシロとミケは草むらで寝ていた。そんなところでは寒いだろうと、抱きかかえ紙箱でこしらえた猫小屋に連れていく。
まだ飼い始めたばかりだというのに、つい三匹の最期を想像してしまうのは、すでに大事な存在を失ったという経験があるからであろう。三匹いるからみんないなくなるということはないだろう。一・二匹は看取ることになるかもしれない。
生きものである以上、御仕舞は必ずやってくる。その間が何年になるかはわからないが、せいぜい悔いのないように面倒をみようと思う。