がらくた80年分

 今年91になるおばが施設に入ったので、今まで住んでいた家(築80年)を片付けている。驚くべきものが見つかる。昭和30年代の手動式洗濯機だとか扇風機だとか。戦前の教科書だとか蓄音器だとか。もっとも多少珍しいのはその程度で、あとは膨大な衣類とガラクタの類。人が一生にため込むモノは一体どれほどの量になるのか、ちょっと見当がつかない。衣類は70ℓのゴミ袋で20個はリサイクルに出したし、同程度をゴミとして出した。ガラクタも同様である。それでもふとんや着物は手つかずで残されている。
 高齢化社会はすなわち大量死社会である。一人の人間がこの世から去った瞬間に、少なくともトラック一台分ぐらいのゴミが出るだろう。したがって大量廃棄社会ということでもある。元気なうちに身の回りのものを捨てておけばいいが、そもそも高齢者にはそういう整理能力がない。死んだあとにでも後片付けする身内もいないとなると、「特殊清掃業」の出番となろう。その業種は間違いなく「成長産業」である。