容易ならざる仕事

 それにしても、雇用の創出は困難ですね。景気も悪いままだし、民間が自律的に雇用を作り出せない以上、政府が何らかの財政出動をせざるを得ません。しかし財政の悪化もひどいし、従来型の公共事業がそれほど雇用拡大に結び付かないことも確かだと思います。
 現在の名目的な失業率は比較的低水準ですが、実質的な失業率、つまり就業をあきらめてしまった人とか、親の年金で生活している人とか、世帯主が家計の維持にふさわしい仕事に就いているのか…などという要素を加味すると、それは恐らく、びっくりするような水準に達していることだと思います。
 グローバル化にさらされた製造業の求人が増えることはないでしょう。サービス業は、元々過当競争ですから低賃金しか払えそうにありません。それに新成長分野なんてないですよね。
そんな中でも介護や育児は成長が見込まれますが、それらは民間の事業であっても公的サービスの色彩が濃いですから、事業をする上でなんらかの公的な支出(補助金なり保険料なり)が必要です。
結局のところこの国では、税金や社会保険料といった公的なお金を使う以外に、雇用が拡大しそうにないのが厳しいところです。じゃあその原資はどこから来るのかと言うと…。残念ながらもはやあの二文字しかないのかもしれません。(口に出すのも憚れる、土へんで始まるあの嫌な熟語です。)
 しかしながら、このまま事態を放置しておくと結局多くの人が貧困状況に陥ってしまいます。本来十分働ける人が福祉で生活するようになってしまいますと、やはり財政支出が拡大することになります。
同じお金を出すにしても、最後のセーフティーネットという形で出すより、雇用を創出する方がマシですよね。仕事をするということは、国民の義務であり権利でもありますし、人間としても何か仕事をしている方が落ち着きますからね…。
そういえば、一に雇用、二に雇用とか言っていた人は、最近どうしていますか?