7月9日・土曜

拙宅にはエアーコンディショナーが三基あり、その内二基は家人の管理下にある。家人は暑いのが大の苦手とあり、現在それらは控え目に作動させている。
我が部屋にも一基あるが、正確に言うと冷房専用機であるので、エアーコンディショナーではない。ここ数年は寝る時ぐらいしか使用しない。夜間の電力は余っているので、冷房機を作動させ良く寝た方が良いなどと云われるが、甚だ同意しかねる。脱原発とは即ち脱冷房であり、そのためには四六時中暑さに慣れる必要がある。夜も辛いならば、真昼の暑さも耐えられるはずだから、兎に角一日中暑く過ごすことが肝要である。よって今年は一切使用しないこととした。
因みにこの冷房機は家具調の年代物で、拙宅で最も旧式である。思えばこの冷房機が来たのは、高校受験の前であった。受験勉強に差し障りがあってはならないと、父と買いに行った品物である。丁度家電量販店が出始めの頃で、色色と家人全員でチラシを検討し、一番安い冷房専用機を選んだ。当時の父は長年勤めた会社を退職し閑になった為か、そんな買い物にも熱心であった。割と遠くの量販店に自転車二台で出掛けた事を思い出した。
あれから二十余年。結局志望した高校に受かることはなく、またその後の歩みも誠に不如意が続き、現在の苦境にあるわけだが、この間この冷房機は黙黙と真夏の夜を守って来たという事になる。節電の折、今季の出番を失くしてしまうのも可哀そうな気がするから一二回程度は作動させようかと考える次第である。
朝から蒸し暑く、度度眠りを断たれる。何だか息苦しく大気中の水蒸気の重さで肺が潰れてしまうのではないかと心配になった。午後から晴れ気温は33℃に達す。関東も梅雨明けの模様。カラッとした分湿度は下がり、日が沈むと気温よりかは涼しく感じた。連日の暑さと過飲で胃腸が弱り日中何度も上厠す。夜は麦酒一缶に留める。