7月19日・火曜

午前中はすること無く国会中継を見る。海抜は高く清涼な所から彼の地の論戦を見下ろすように見ると、都内に居る時程腹も立たないから不思議である。丁度殉職した消防団員に支払う弔慰金の手当てについての論議が行われていた。殉職者は200人を越え、積立金が大幅に不足しているのだと云う。あらゆる点で今回の災害は酷過ぎた。
台風6号が接近しており、方方の心配は尽きない。6号は四国の手前で直角に曲がり四国と本土を掠めるような進路でのろのろと接近しつつある。
復路は高速バスにした。この高速バスと云う乗り物の最大の難点は全車指定席と云う事で、後から予約を入れると大抵通路側になり、自由席に並ぶ訳にもいかないから、其れ切り手の打ちようがないと云う所にある。今回も通路側に案内されたが、幸い後ろの座席が二つとも空いており、最後の乗車場を通り過ぎた所で早速移動し事なきを得た。
一旦乗って仕舞えば、車内販売は無いし、他のお客が動く事も無い。もう何も気を使う事がないから案外気楽な道中である。最近のバスにはトイレも付いているが、バスではお酒を飲む気にはなれないから、肝臓を休めるには丁度いい。トイレつきのバスをユニットバスと云うかは知らないが、トイレが付いていると云うだけで、乗客は安心し却ってトイレに行かなくなるものである。なお増発便はトイレがない車両が来る事もあると云うがこれは良くない。張り子のトイレを乗っけて置くか、木目の模造紙にトイレと大書きして車内のどこかに張り付けておけば、其れだけで乗客は安心するだろう。それが乗客サアビスと云うものである。
雨は所所滝の様に降る。昭和の後期に造った道路は、明治中期の鉄路とは丸で高さが違うから、雲海の様なものまで出て来る。特に甲府盆地を過ぎたころからから山中は大雨となり、道路に益益水が溜まり、撥ね退ける水飛沫と雨と霧と雲が交錯し、直ぐ前の車の尾灯も霞む。あらゆる方向から来る水を撥ね退け進むあたり、まるで荒天を衝いて出た高速船のような様相である。反対線は事故渋滞していたが、新宿には定時に着いた。なお地を這うようにして敷かれた明治中期の鉄路の方は、案の定夕方から運休になったようである。新宿ターミナルから其のまま職場に顔を出し、少し仕事して帰る。