7月27日・水曜

しかし今年ほど扇風機を多用している年も無いと思った。扇風機は昔は高かったが、今や一台わずか数千円であるから小学生の御小遣いでも買える。ただ機能はまるで昔のままである。最近の物は簡素なリモコンは付いたようだが、風向と風の強弱が多少変えられ、首振りの有無を例のピンの様なものの抜き差しで選択できると云うのも昔のままである。その分気は利かない。暑がりの人の所を選んで轟轟と風を吹かせると云う事も、部屋の温度を感知して運転調整すると云う事も出来ない。後発のエアコンは遥かに進化したが、扇風機は登場時の太古の祖形のままである。こういう電化製品も珍しいと思う。だから、やはり気が利かない。云い付けられた事をただ云われた通りやるだけである。寒いと思っても黙黙と強風を吹き付けて来るし、暑い此方に首を振って欲しいと願う時も、あと数度と云うところまで来てプイと反対側に行ってしまう。そのプイと振り返る様は、居酒屋か何処かで注文をしようとして、目が合ったつもりで手を振ってもまるで気がつかない、まるで気が利かない店員の様である。それに上を向かせて首を振らせると何処か誇らしげで、下を向かせてそうさせると、何だか怒られた子どもの様でしょんぼりとしている。こういう古い仕組みの機械であるから、何となく人間染みた所があるのだと思う。
久久の不出社。天気は曇りでかなり蒸し暑く感じた。朝のうちは枯れ枝を払い、午後は仮眠をとる。