気温低く朝は20度を大きく下回り、日中も曇りがちで21、2度となる。家人は寒い寒いと連呼し、暖房機を点けかねない勢いである。併し二週間前を思えば、こんなに素晴らしい日日も無いはずで、私なぞは嬉しさの余り半袖シャツで方方を駆け回る。
駆け回った挙句、適適入った古本屋で『近世風俗志』(岩波文庫)という本を手にする。江戸末期に書かれた一種の百科事典で、この職業紹介欄が面白い。よく原子力発電を止め自然エネルギーを中心に据えるべきだと言うと、江戸時代に戻るのかなどと言う愚にもつかない暴論が浴びせられるが、江戸期は消費生活と言う点では、今日と大差無い感じである。茶漬屋や料理茶屋が林立し、湯出鶏卵売りや冷水売りが闊歩した社会を、自然エネルギーの不便な時代と見るか、今日的消費社会の出発点と見るかで、評価は大部変わってくるだろう。