10月3日・月曜

日日一段と涼しくなり、此の処夜間睡眠も途中で停車することなく、毎朝直通運転となる。夏の疲れも取れ、またひと月半も続いた剪定作業も取り合えず一段落出来たと云った処である。
午後出社。漸く涼しくなったので、チラシ配りを再開す。一時間程職場の近所を練り歩き、子どもの居そうな家に、我が貧乏学院のチラシを入れて回った。尤もチラシの直接的な反応と言うものは中中無いし、亦期待もしていないから、半ば運動を兼ねての気楽な任務である。
経済統計などに因ると国内需要は年間で約20兆の不足だと言う。つまり国民一人当りあと20万使えば国内にお金が回るとの見立てである。私はただでさえ少ないうえに、不定の俸給の全てを回している。では一体誰が流れを止めているのか。此処の家か其れとも此の家か見て回る、という感覚でチラシを入れて歩いた。
併し見た処、空き家も多い。ついこの前まで子どもが住んでいた瀟洒な住宅が売りに出されていた。この一家は何処に行ってしまったのか…。そう云えば今年も一人の生徒が辞めた。辞めたのは経済的な事由である。確か家ごと売りに出して何処かへ引っ越したはずである。やはり何処にもお金はないようである。
退社後、何時もの立ち飲み屋に行く。何時ものペースで麦酒を腹に収めると何だか寒い。夜になって一段と気温が下がった様である。人恋しさを、今シーズン初の燗酒で誤魔化してから帰途に就いた。