11月16日・水曜

朝は10度程度まで下がる。天気は快晴。昼は16度程度。被災三県の日本酒の出荷量は、前年より大きく伸びたと伝えられる。応援消費の効果だろうが、宮城が4割増なのに対して福島は1割弱の伸びと云うから、言わずもがなの事態である。これから今年の米を使った仕込みが始まるが、となると来年の方が心配である。また茨城は多くの酒蔵が被災したにもかかわらず、応援消費が少ないと嘆いているというから、これからは茨城急行も運転しようと思う。
午後出社。中学三年生の国語の教科書には大抵魯迅の「故郷」が出ており、本来国語は担当しないが定期試験対策の為久久に読む。従来、閏土や豆腐屋小町こと楊二嫂の変わり様は、近代中国が方方から背負わされた苦しみとして、背負わせた方の末裔としては心苦しく感じつつも、何処か遠い歴史絵巻のようには感じていた。今読み直してみると、彼らは将来の日本の姿かもしれないと少し戦慄を覚えた。堂堂とした貧乏ならまだいい。卑屈な貧乏が増える事は避けたいものだが、数度の経済危機と政治と税制の失敗を経たら、どんな世の中になるか知れたものではない。
退社後は、麦酒二杯に焼酎お湯割り一杯をお腹に詰め込んだが、その割合では冷却効果の方が大きく、震え上がりながらの帰宅となった。亦職業野球日本一を決める決定戦では昨日今日と連敗して仕舞い、尚寒かった。この時期まで職業野球に集中できるのは贔屓のチームが強いお蔭だが、半年に渡るリーグ戦をし、その後の優勝決定戦にも勝ち上がり、そして日本で一番のチームを決める連続試合となるが、勝てば勝つ程、強い相手チームが出て来るのだから、何だか馬鹿馬鹿しく思えてくる。
勝っても負けても活躍すれば選手や監督は給料も増え、関係者には超過勤務手当ても出るだろうが、一介のファンでは毎日あれやこれやとやきもきさせられた上に、勝ったら勝ったで知人にお酒を飲ませなくてはならないし、負けたら負けたで、平素なら何でもない穏やかな筈の晩秋の一日が、不幸のどん底の様な終わり方をする。そしてついお酒を沢山飲んで翌朝は具合が悪くもなる。無闇に勝ち続けてこの時期まで試合を観させられても、ファンとして良い事は何も無いと思った。