2月28日・火曜

大して晴れず一日寒かった。火曜不出社。無為に過ごす。随分前の事になるが、割と寒い時期に信州の伯母の所に皆で行った事がある。伯母の家は薪ストーブなので火を起して茫茫焚き、例の如くお酒を飲んで寝て仕舞った。すると夜更けになって薄ら寒いので起きてみると、同行していた面面が、何かしらの中毒を懸念して方方の窓を隅無く開け大換気を行っている所であった。薪ストーブは煙突から黙黙と煙が出ている限り、絶えず空気は出たり入ったりしているので其の心配は無い。其れを知らない素人だから、杞憂の御手本の様な御話を造ったものだと、暫く笑い話の種に使っていた事がある。
安全管理とは即ち想像力である。色色と思いを巡らし薪ストーブの危険に思い至ったのだと思う。薪ストーブが故障しても犠牲者は一桁で済むであろうが、天が落っこち来ては大変な事になる。さぞ杞の国の其の人も心配して眠れぬ夜を過ごしたに違いない。
民間委員による原子力事故の報告書が出た。政府の危機管理能力の欠如を指摘したが、土台事故は起こらない物と長期に渡り決めていたものだから、事故対応が場当たり的で泥縄式になるのも無理は無い。其の上で更に糾弾されるべきは、事故は起こらないとして来た永年の原子力行政である。天が落っこちて来る様な大事故は起きたら困るから起らないという出鱈目の論理を取り付けて高い給料を取って来た今までの博士や大臣の所に、少しは事故対策費用を取り立てに行ったどうだろうか。