2013年1月

1/31・木
 三月末まで勤め上げると却って退職金が減らされると云う可哀そうな制度の為に、教員も警察官もぞくぞくと退職していると云う。生徒と犯人をほったらかしにして怪しからんと云う意見もあるようだが、一目散に先生が逃げ出したと云う事は、即ち生徒と親の態度が宜しくないと云う事であると思った。其れほど、物を教えると云う事が苦行難行になっていると日に日に感じる。その内、教師という職業そのものが成り立たなくなるであろう。
今月も今日で御仕舞、詰まり再びの大晦日なので、午前中は相次いで弁護士や家賃滞納者と電話で話す。一方午後は給料滞納会社に出社。最早自分でも何をやっているのか丸で分からなくなる。退社後月波君来る。幾ら飲んでも正気に戻ることは無い感じであった。最後に二人で古い方の立ち飲み屋に寄った。駅前再開発を機に店仕舞いすると云う。其れまで二年であると聞かされた。地震多し。


1/30・水
 新年度予算決まる。相変わらずの建設業界重視の予算に戻った感じだが、政権交代に疲れ果てた諸兄とも、最早矢でも財政破綻でも持って来いの心境で、特に反対する気配も無さそうである。確かに吾人も随分草臥れた。こういう自暴自棄の心境が翼翼危ない事は十分わかっているものの、何か文句をつけようと云う気が起こらなくなった。午後出社。給料の支払いは無し。勤労奉仕の感覚である。其れは即ち諦念である。


1/29・火
 漸く午前中に塗装屋さんが見積もり書を持って来る。書を手に取り実地で検分す。今回は塗装に留まらない大規模修繕である。早速来月から取り懸るように頼んでおいた。午後は再びの税務書類。昨年余りに矢鱈滅多らに直した結果、修繕費と税金で所得が半減することが判明す。修繕費の一部は償却費に回せるそうだが、素人では全くちんぷんかんぷんである。こんなことになるのなら、もっと勉強と運動をして海経でも出ておくべきだったと後悔す。


1/28・月
 御午過ぎに万代伯母さんの件で銀行員と話す。午後出社。然し税務申告の事が頭から離れない。御酒を飲んでも流れて行かなかった。新首相が国会で演説。能があるかどうかまでは保証の限りではないが、取り敢えず爪は隠して経済再生に取り組むと云う。其の限りに於いては案外結構なことだと思った。


1/27・日
 朝は冷たいが、陽が出ると暖かい。古本を買いに自転車で出掛ける。馴染みの店が何軒か無くなっており落胆す。以後無為。


1/26・土
 起きたら既に11時であった。以後老家人と共に税務申告書の作成に取り掛かる。家人既に耄碌が進行し、言語不明瞭に意味不明確、其の上吾人は御金の計算に悉く不案内にて、作業は大変難航す。勘定科目と表計算でぐちゃぐちゃになった頭をすっきりさせるためには、早い時間から飲み始めるしかなかった。


1/25・金
 退社後月波君来る。例によって安い店ばかり飲み歩く。道中、月波君しみじみ曰く、髪の毛が後退してきたと。吾人曰く、後退は前進より増しであると。万が一にも髪の生え際が道理に反し前進して来て、先ず髭と合流し、次に胸毛と合流し、滔滔脛毛まで到達して爪先まで毛むくじゃらになって仕舞ったら、最早御申さんと区別は付くまい。其の上珍獣として動物園に陳列されたら月波君の一生は台無しである。後退をもっと感謝すべきであると述べて措いた。その後御開き間近の金曜会に合流。牛の様に白酒を飲んで帰る。


1/24・木
 一日曇り。昨夜飲み過ぎ日中絶食す。午後出社。二杯だけ飲んで早く帰った。阿弗利加で酷い事件あり。愈愈邦人も狙われるようになった。自然力をもっと普及させて、そんな遠くまで瓦斯や石油を取りに行かなくても済む様な世の中にせねばならないと思った。


1/23・水
 此の処増えた物と云えば狭小な保育所である。貸しビルの一室で子どもを預かっている様な所が近くに二三軒は出来た。当然、庭も木も土も無い。その一方で、近所にはもっと大きな空き家や明らかに過剰となった空き学校の様な物も沢山ある。然し貸してくれるのは結局狭い事務所の様な所である。土地も建物も同じ地域内にありながら、悉く偏在している。市場の論理も行政の調整機能も働かない。狭い所で子どもの面倒を見るのは翼翼大変だと思うし、子どもも大人も迷惑である。
 午後出社。出勤途上、大通りの所で小さな子が泣き叫んでいたので保護す。あと少しで轢かれたかもしれない。人間の子など寝子より危ないと思った。夜から小雨。少し濡れて帰った。


1/22・火
 午前中は冷たい雨が残る。午後は晴れた。漸く年賀状書き終わる。然しもう一月も終わる頃になったので、表題を寒中見舞いに変更して発送す。先日の見積もり書を催促す。二週間たってもまだ来ない。大体試験や検査を受けて結果が来ない時ほどもどかしい事は無い。


1/21・月
 午後出社。冬期講習代が少しは入った筈なのに未だ給料支払われず。無責任社長と暫し口論す。全く下らない事ばかりが増えて困る。立って飲んで気を紛らわせる。鶴木さんや井満さん古井さんらが自然にきちんと集って来て短い時間だったが中中楽しかった。


1/20・日
 一日晴れ。割と暖かい。自転車で出掛ける。昼時だと云うのに御客の丸で居ない蕎麦屋で、独りで麦酒を飲む。軽減税率は見送りになったよう。


1/19・土
 一日晴れ。特に予定なし。シャベルと鍬を手に取り再び砕氷す。除雪砕氷融雪の作業も概ね終了す。こんなにシャベルを手にした一週間もなかった。
 割と最近、予備隊のどこかの部隊が都内を銃を持って行進して色色と問題になったことがあった。当時、銃をシャベルに交換して歩けば問題は少なかっただろうと思った。シャベルは雪掻きにも、土砂の中から人を掘り起こす為にも使われる。尤も塹壕堀りにも使われるから、立派な凶器にもなる。其れでも銃を担ぐよりは良いだろう。筆や剣に鍬や槌は色色な旗に描かれたが、シャベルを崇め奉ることは無かったと思う。シャベルは地味な道具である。何処かの建設会社の社旗あたりに描かれていると良いと思った。



1/18・金
 溶けた雪が再び凍結し再び砕氷す。適度に草臥れてから午後出社。適当に立って飲んで帰った。連立与党の内の、元元は平和と福祉を訴えていた筈の政党が消費増税の際の軽減税率を主張す。其の声を聞いた途端、あらゆる業界団体が我こそは5%にせんと国会に殺到す。見苦しい事限りなし。


1/17・木
 曇り時時晴れ。日中7度程度。再び雪掻きす。というより寄せて固まった雪小山を少しずつ叩き壊した。壊した氷山を持って行く所が無くて困る。塩化カルシウムを振りかけて溶かしてやろうかとも思った。午後久久に出社。可もなく不可も無く。少し立って飲んで帰った。


1/16・水
 撃ちてし止まむデフレーションとばかりに、大盤振る舞いの補正予算決定される。此れで万が一にも景気が良くなれば良いが、財政出動だけでは不十分であることは過去の例を見れば明らかである。別に今更デフレーションから脱却しなくても大して困らないが、景気が良くなって税収が伸びなければ、日本国債の危険は益益高まる。財政破綻されると色色と不便になることもあるだろう。
此処は民間需要を喚起せねばならない。そもそも国の借金が1000兆にもなったのは、国民が矢鱈滅多らに御金を貯めて、銀行に国の債権を買い続けさせたことにも因る筈である。ならば貯蓄心は敵だと国民の新たな蓄財を禁止するとともに消費を大いに奨励すべきである。特に現政権を支持した人人は、一円でも多く身銭を切って、国と愛する総理を御支えすべきである。
 午前中は曇り。夕方になって少し晴れた。低温の為、雪は殆ど解けず。また明日雪掻きせねばならない。熱は概ね下がったが、受験生にうつしてはいけないから本日欠勤とした。下手な追い込み指導で病気にさせて仕舞えば元も子もない。



1/15・火
 一日晴れ。雪の為幹線道路の渋滞酷し。検査通院の為出立した家人が、バスが全く来ないと引き返して来る。コンピュータ画面で確認すると、バスが何台も何台も同じ国道で止まっている。中には全ての車両が同じ所に居る様な路線もあった。鉄道は平常だから駅まで歩くように指示を出した。
午前中は再びの雪掻き。御午過ぎに背中が痛くなる。筋肉痛にしては早過ぎると思ったが、痛みは方方に拡散し丸で全身打撲の様な痛みとなる。序でに寒気もして来る。筋肉痛は神経痛の間違いで、とどのつまりは今季三回目の風邪である。午後から寝込み三十八度台後半を記録す。咳やくしゃみなどの予兆が一切ない、風邪の奇襲攻撃である。

 
1/14・月
 大酒後にて一日安静にして居ようと思ったら、予報が外れて大雪となる。早速頬っ被りをして裏道の雪掻きをするも余りの積雪に断念す。すると見ている傍から桃の枝がばっさり折れる。大部弱っていたから無理も無い。道路に落ちた故、放って置く訳にも行かず鋸隊を出して撤去す。余りの降り様に、丸で二二六の時の様だと老家人が宣った。世情に関しては近い物があると思った。暗くなる頃に漸く止んで来る。再び雪掻きす。



1/13・日
 金曜会の新年会。蒲田の外れの温泉施設に総勢十一名で乗り込む。午後の二時から飲み始め六時まで飲む。その後あちこちの街に移動し、色んな知り合いを呼び出しながら結局何時ものもの品川区内に戻る。此処で十一時過ぎまで更に御酒を飲み込んだ。歩いて帰る元気も、何遍も乗り換えて電車で帰る根気も無くなった。仕方なくタクシヰに乗って帰る。千七百円也。内需拡大あるのみである。


1/12・土
 予定なく過ごす。一日晴れ。一日無為。


1/11・金
 午前中は予定なし。何だか疲れが出たのか昏昏と午睡す。午後出社。店内と店外、体内と体外の温度差が激しいせいか、飲んでいる内に顔が火照って金時の火事見舞いのようになる。悪酔いの一種なので、深酒せぬように帰った。


1/10・木
 新政権は富裕層への増税を決定す。至極当然な成り行きだが、其れにしても民主党が真っ先に消費増税を決め、後から自民党が御金持ちから取り立てるとなると、物の順番があべこべになった感じである。滞納家賃一ヶ月分だけ振り込まれる。午後出社。此方の給料の支払いは無し。


1/9・水
 午前中に塗装屋さんが来る。家作の外壁塗り変えの見積もりを取る。昨年は内部を集中的に直したので、今年は外の番である。色色と話したところ、以前と同じに塗り戻すのではなく、一階と二階で塗り分ければ見映えが良くて面白そうである。又腐食して痩せた所は新型のトタン板で覆い隠す事が出来るとのこと。あれやこれやと想像して楽しくなった。今回も万代伯母さんが堰き止めていた御金を贅沢に使うことになるが、別に無駄使いをする訳では無し。家作で貯めた御金を、家作に返すだけのことである。此の処、政府日銀より先ず万代伯母さんと云う感じで、世の中に御金を流している。
午後出社。午前中は気前の良い施主代行だが、午後は給料も払えない大貧学院勤務である。この懸隔を埋める為にはがふがぶ飲んで帰るしかなかった。吾人も少ない給金を、飲み屋と酒屋と古本屋に回している。


1/8・火
 新首相は口先一つで株高と円安を生み出したのだから大したものである。尤も後で十兆円の補正予算だの二百兆の公共投資を行うなどと大盤振る舞いを口約束している。それらは結局国の借金になる。
国の経済を何とかして欲しいと願うのは国民の総意だろうが、元元日本人はじり貧に弱いと云う話を何処かの本で読んだことがある。じり貧を避けようとして、ぱんぱんに膨らんだ国債に少しでも穴があけば、即どか貧である。
二週間ぶりに通常の日常に戻ったが、却って仕事が目白押しである。先ず膀胱炎にかかったシロを獣医へ連れて行く。次いで滞納の件で弁護士と話す。いい加減月末までに退去して貰うようお願いした。その後油に塗れて動かなくなった換気扇を買い換えた。新型は濾過紙が備え付きになっている。正に隔世の感である。


1/7・月
 早朝出社。今日で講習も御仕舞。高校生相手に大学入試共通問題の小説文を集中講義す。吾人だけなら一題五分も読めば大半の正答に至るが、いざ大勢の他人を説得させるとなると結構草臥れる。特に文学作品はそうである。
四日も働いたから月曜なのに何だか金曜な感じがして仕様が無い。7時退社。実に普通の勤め人の様な退社だった。普段とは勝手が違うので飲み仲間は捕まらず。ならば普段は行かない様な所で御酒を飲もうと思い、数年振りに老夫婦で営む中華蕎麦屋に入った。店内は何も変わりが無いと思ったが、テレビジョンだけは新型になっており、而も衛星放送対応である。滅多に見ない時代劇を最初から最後まで独りで見た。腰を据えて見ていると案外面白い。而かもコンピュータで画像を直しているから何年前の作品か分からない。大昔の店で観るには、こういう物が相応しいと思った。御酒の他には一杯四百円の中華蕎麦ではなく、六百円のチャーシュー麺を注文して観覧料の足しとした積りである。


1/6・日
 日曜出社。今日も飲まずに帰宅す。


1/5・土
 早朝出社。朝は零下となる。猫用の水飲みが凍っていた。ごみの回収が年末年始の休みにつけ、あちこちに散乱し見苦し。烏も寄って来て盛んに散らす。いっそ大きな車を仕立てて、次から次へと袋を荷台に放り上げ清掃工場に運んでやったら、気持ちがいいだろうとも思った。
福島の除染工事が杜撰極まり無いと苦情殺到す。そもそも目に見えない飛び散った粉を集めると云う途方もない作業だから、手抜きの横行ということにもなる。街中の放置ごみを集めるのならば、目に見えて綺麗になるし、人人に感謝もされる。感謝もされず、回収した塵の持って行き場もないのだから、そういうことにもなるだろうと思った。つくづく起こした事は全く取り返しのつかない事であると思い返した。


1/4・金
 本日から講習後半。午前出社。年末来の牛飲が祟り日中悉くふらふらす。朝抜き、昼飛び、夜も御酒無しとし、内臓系統の回復に努めた。十時就寝す。


1/3・木
 今日も晴れたが昨日とは質が違う。きんきんに冷えた感じ。生憎、駅伝見物に誘われていて、御午前に鶴見の中継所に行く。途中蒲田の京急駅が御城の様になっていて吃驚す。鳳生大学も久久に出場したが、折角わあわあ声援を送っても一瞬で通り過ぎる。味気無し。その後総持寺の門前で御酒を飲んだが、気温五度では出店で買った蛸焼きが少しの閑語の間に冷え、忽ち昨夜の残飯の様になる。天は我らを見放したと早早に撤収す。その後二軒ほど飲み続ける。目黒からバスで帰ったところ十一時過ぎであった。


1/2・水
 今日も晴れ。午後から大風。気温高し。明日が誕生日の家人に、洋菓子を買って来て食べさせた。


1/1・火
 一日穏やかに晴れる。正に関東の御正月である。当然外出は無し。朝と晩一日二回御酒を飲む。昨年の人口減20万人を超えたそう。新成人は総人口の1%もおらず。あらゆる指標は悲観的だが、社会を維持するために赤ん坊を増やせと云う訳にも往か無い。ならば社会制度の設計変更を頼むしかないが、行き着くところは増税だから、積極的にはなれず仕舞いと云ったところであろう。