人生最後の職業とは・・

 おそらく、介護職であろう。介護とは、忍耐力のいる仕事である。まず、介護には改善するということが、ない。子育てや教育の逆だからである。介護に成長の楽しみは…、ない。
出来たことが出来なくなり、覚えていたことが思い出せなくなり、わかるはずのことがもう、わからなくなる。年をとるということは、なんと絶望的なことであろうか。そんなときに、何でこんなことができないのだと、癇癪を起こしたところで、全くの無意味である。
 そんな年寄りの面倒をみるということは、かなりの想像力を要することだと思う。最終的には、言葉も通じなくなる状況で、頼みの綱は、介護者の想像力である。この人は、何をしたいのだろう、あるいは何をされたくないのだろう・・・、介護者は常に想像しなくてはならない。
 そしておそらく、その想像力を形作るのは、「自分もいつかそうなるかもしれない」という介護者自身の行く末を想像できるか否かにかかっている。
 自分の老いた姿を想像することなど、20代の若者にはできまい。(介護職を目指す若者諸君には申し訳ないが。)できるとしたら、自分の行く末が、少しずつだが、確実に予見できるようになる40歳以上であると思う。(もっとも、このような紋切り型の年齢区分が万能でないことはあらかじめ断っておく。)
介護職には、自らの「行く末」を悟ることの出来た、ある年代以上の世代が適している。したがって、会社員生活になんとなく先が見えた段階での介護転職というのは、現実的な選択肢の一つだと思う。
中年よ、介護に集まれ・・・。他人の親を救うことは、自分の親を救うことでもある。給料は安いらしいが、いずれ政府が何とかしてくれるだろう。
ただ、年老いたヘルパーばかりで老老介護になるのも、たいへんなので、力と明るさのいるところは、若者の手を借りようではないか。