コンクリートを人の手で・・・

 「コンクリートから人へ」が、新政権のスローガンであるという。立派な目標だが、急にこれをやられると、人びとはかえって困る。地方での公共工事は削減の一途をたどり、第一次産業への転職もはかどらないようである。したがって、今日中継ぎ的なパブリック事業が必要なのだが、いまさらコンクリートの建造物をつくるというわけにもいかない。ならば、今までつくられたコンクリートをたたき壊すという事業はいかがであろうか? しかも、なるべく人の手を使って。
山奥の道路を撤去し、直線的な川を本来の曲線し、不要なダムを片付け、暗渠を取っ払って元の川の流れが見られるようにしに、埋め立てた土地を干潟に戻す…。いわば原状回復工事である。今までつくられたものの0.01%でも元に戻せば十分であろう。
土建産業は作ることには熱心であったが、撤去にはおそらく不慣れであろう。したがって、機械力の大量投入は避け、なるべく人の手で行う。そうすれば、雇用の回復にもつながる。仕事も増え、自然も地方経済も回復する。そのうえで、産業の構造転換を図ればよい。この事業の合言葉は、「コンクリートを人の手でひっぱがす」である。