生きることは・・・

 何が面白いのか分からないが、子猫たちは走り回っている。ちょっと立ち止まったかと思うと、一気に走りだし梅の木によじ登ったりする。別の子猫は、蝶々を追いかけ前足を伸ばす。しかし届かない。すぐに飽きたとみえて、今度は飛蝗を追い始める。時に正座しながら、空を見上げる。キラキラした目を輝かせて。まるで今この瞬間に生きていることが面白くてたまらないとでも言いたそうな顔をしながら・・・
 散々遊んだ後は疲れたとみえ、発泡スチロールの箱でつくった猫小屋か、陽だまりにおいた座布団で昼寝をする。こんな時は、こちらの人間が遊んでくれと言っても、せいぜい面倒くさそうに欠伸をして伸びをする程度である。それじゃあつまらないから、二三度背中をなぜてほうっておく。するとまた寝る。猫は寝る子とはよく言ったものだ。
 遊んで寝て食べていられるのも、生きている限りにおいてのことである。お前たちは本当に幸せだねと心から思う。それは同時に、生きていることはただそれだけで素晴らしいことだよと、子猫たちが私に教えているかのようでもある。