鼻と口の間にある縦の線を何というかご存知だろうか? 人中と書き、じんちゅうと読む。例の二本のラインとのことである。聞いた話では、特に存在理由はないとのこと。何の役にも立っていないが、年とともになくなっていくそうである。
なるほど齢80になる家人の顔を見ると、人中はもうなくなっていた。人体としてはそんな無意味なものを維持するだけ無駄ということであろう。
よくよく考えてみると、年をとるということは崩れることである。体型が崩れる、目や耳が垂れさがる、胸や尻も垂れ下がる。年月を経ることで崩壊にむかうのは人間も建物も同じである。崩れることはつらいだろうが、早死にしてそうならないことよりかはマシだと思って、甘受するしかなかろう。