メール復元でデジタルの勝ち

 ついに証拠が出てしまいましたか。相撲の八百長疑惑は随分前からありましたが、今回のは決定的です。警察による携帯電話の解析で「証拠」が出ましたから。なんでもメールは消しても復元ができるそうで…。
この八百長発覚もデジタル化の賜物(?)つまりアナログ時代ならばこんなことにはならなかった…というのが私の印象です。口から口へ伝達している範囲では内部告発がなければ明るみにはならないですし、よしんば告発者が出てもみんなで否定すればいいわけです(前回の疑惑騒動の時はこのやり方で切りぬけました)。また仮に紙に書いたメモがあっても燃やすか水に流せば証拠はなくなります。
でもデジタルデータはそうはいきません。複写も復元も運搬も容易なようです。だから八百長の相談は、飲み屋で隠語を使って直接伝えるか、付き人を伝令によこすとか、せめて電話で話しておけばよかった…と彼らは後悔しているところでしょう。今後は他力士のケータイや銀行口座も調査の対象となるそうで、相撲界にはお気の毒なことですが、まだまだこの騒動は大きくなりそうです。
でもこの騒動、一般市民にとっても対岸の火事とは言えないところもあります。わたしたちも、日常のあらゆるところでデジタルデータをやり取りしています。メールから浮気がばれてしまったとか、企業が従業員のPCの使用を監視するなんてことはよくあります。 
また近々、国家的な規模で個人の所得や納税額や医療・年金記録を一元的に管理する時代もやってきそうです。国民総背番号制に銀行口座やクレカの利用明細などがリンクされ、個人が容易にそして詳細に管理されるとどんな事が起こることやら…。
 とにもかくにも、デジタル化は恐ろしい。ケータイもパソコンも一般的にはほんの10年ちょっとの歴史しかないものが、相撲の長い「伝統」を変えてしまいそうなのですから。