「ノルウェーからの手紙」ではなし。

 私はポストに「チラシ等はお断り」などというケチくさい張り紙はしないことにしているので、毎日毎日雑多な広告が入る。大半が近所の飲食店か不動産関連のものだが、その中に「ノルウェー地方金融公社」売出しの紙が入っていた。何のことはない証券会社のチラシなのだが、なかなか興味を引くタイトルである。
 かの地は寒いだろうな。オーロラは見えるだろうか。北国の春はどんなだろう。ここで集めたお金は、サンタクロースが入るような煙突付きのお家を建てたり、サーモンの養殖場を建て替えたり、寒い学校を暖かくするのに使われるのだろうな…などとつい想像してしまう。
 だが、チラシのどこを見ても、債券の概要やリスクや格付けについての但し書きはあったが、この公社がどこで何をしているかについては一文字の記載もなかった。恐らく債券を売っている当事者にもわからないのだろう。
それにしてもどこをどう経由してノルウェーの債券の案内が、東京・世田谷の一般住宅のポストに入って来るのやら…。グローバル化した金融商品と言うものはすごいと思う。むろんそれは、子ども向けの話によくあるような〈世界中の郵便屋さんや船乗りさんたちがみんなで協力して一つのお手紙を届けました…〉という類の感銘を受けるものではない。