震災日記 3月11日・金

出社しようとある角をまがったところで、突然自転車が揺れる。強風のせいで自転車が揺れたのかと思ったら、通行人のおばさんが地震が起きていると教えてくれる。自転車も緊急停止。揺れはますますひどくなり、家屋の中から次々と人が出てくる。揺れは長く大きく、二分は続いた。直感的に遠いなとは思ったが、同じく緊急停止したマイカーの女性は、カーナビ画面にて、震源は東北方面だと教えてくれた。これはたいへんな津波の被害が出るのではないかとも思ったが、とりあえずいったん帰宅する。
 当日たまたまおば二人が来ており、着物ざらえなどをしていたが、到底電車は動くまいとして今夜の泊りを指示する。散乱した本を片付けてテレビを見ると、仙台南あたりのヘリコプター中継が入る。見ているそばから何台もの自動車が津波に巻き込まれていった。これはたいへんな被害になったと思った。一応出社しなくてはならないと思い4時過ぎに再び自転車にてむかう。意外にも職場は本が一冊も落ちていなかった。
生徒はたいして来ず逆に暇を持てあます。電話は一切つながらない。職場のパソコンで、テレビのニュースを中継してもらうとラジオ以上の恐ろしい光景が展開。おまけに福島の原発がたいへんなことになっているらしい。同僚二人は電車が動くまで職場に滞留すると言うので、私は10時には帰る。それにしても都内では電車が動かないという以外に何も問題はないというのに、それが問題になっているのだ。
本棚は倒れなかったが、だらしなく積んでいた本は相当落ちた。なかでも飲み残しの缶ビールが倒れ、時刻表がビールびたしになっていた。その時刻表は最新号で表紙はあす全線開業する九州新幹線。当然この九州新幹線のニュースは何処かへ行ってしまった。