南三陸町では未だに一部の信号機が復旧しておらず、住民は恐る恐る国道を横断していると、テレビニュースがやや悲憤慷慨調に伝えていた。聞く所によると、町の復興計画がまだ出来上がらず、移設になるかもしれない国道に信号機を附けるのは無駄な事業と判断されているらしい。仮設の信号機でいいから、早く附かないものであろうか。
そう云えばどの町内にも殆どの通行人が無視する無駄な信号機と云うものが一つはある。赤だの青だのを繁繁と見つめてから云われた通りに渡るのは遠方から来た土地勘のない者ぐらいで、その渡り方一つ見れば地域住民か否か一目でわかる。そこの信号機を引っこ抜いて早く持って往きたい。被災地の住民も喜ぶし、何より信号機自身も皆に見つめられ頼りにされることで、彼もしくは彼女の本懐を漸く遂げられることであろう。
午後出社。昨夜飲み過ぎたせいか一日調子が悪かったが、丁度飲みだす頃には調子が良くなる。本日の麦酒はかつてないほど絶品な味わいであった。二杯ほど立って飲んで独りで帰る。涼しくなった分、麦酒も旨いのだろうとも思う。真夏の頃は頭も舌も全くおかしくなっていて、ゆっくり味わうどころではなかった。