2月18日・土曜

一日晴れ。午前中から活動す。先ず猫に予防注射を受け差す。専用の箱に入れ自転車で獣医さんの所まで往復す。推定年齢は2歳弱だから、この一年間で随分大きくなった。重い上に事故か何かで転倒して逃げ出されたら、其れっきり迷い猫になるであろう。ノラの様にはしてはならないから、運転には細心の注意が必要である。眼光鋭く運転す。二往復したところで診察時間が終わって仕舞い、残りの一匹は後日護送することとした。
夕方に再び外出す。立川の馴染みの店に行く。この店は大学同期の町山君が会社勤めを辞め細君と開いた店で開店して一年半がたった。今回は同門の春日君と出掛ける事にした。同行者は大学同期なので割り前勘定になるであろうから、今日は安心の外出である。幸い店は繁盛していて安心す。11時半まで痛飲し終電の少し前で帰る事にした。だが駅まで行くと改札口は人で溢れている。電車と人がぶつかったそうで中央線が動いていない。運転再開は1時半になると言う。縦しんば再開を待って乗ったとしても、接続私鉄線の延長運転はしないであろうから今晩中の帰宅は絶望となる。
二重に困った事になったと思った。まずはお金の心配である。次に困ったのは、既に胃も肝臓も満杯であると云う事である。今晩は終電で帰ると云う見込みで、腹を大量のお酒と料理で満たす一方、財布の中身を順調に減らしてきた。今更延長戦に誘われても仕上げの洋麺までたっぷり食べただけに本当に困るのである。そもそも飲食と云う行為は色色とお話をしながら、飲んだり食べたりする過程が面白いのであって、満腹になって酔いが回って仕舞えば面白い事は何も無い。古代羅馬の宴会は食べては吐くを繰り返したと云うが、退廃の御手本の様に扱われる此の挿話も、案外物事の本質を衝いていると思った。
生憎羅馬人の様に御行儀が悪くないので、弱った挙句結局春日君と一緒に元の店に戻った。店は深夜営業するので追い返される心配は無いが、少し歩いた所で食道の上の辺りまで消化器線は全線満線で最早一口も入らない状態に変わりは無い。然し酒場で酒を飲まない訳にも行かないから少しは飲んだが、大体二時前後には意識混濁となる。堪らず酔い覚ましがてら散歩に出た。丁度深夜喫茶があり手足を伸ばせる部屋に避難して仮眠を取ることにした。しかし宛がわれた小部屋には大きめの椅子があるのみで、手と足と背中を折り畳み猫の様に丸くなって寝るより仕様が無かった。椅子もパソコンも漫画の類も一切いらないから、畳を一畳貸して欲しいと思った。