4月19日・火曜

北から寒気が入り、雨が降ってはまた晴れたりと不安定な天気の一日であった。
津波に襲われた市街地に人が戻り始めている。かつての敷地にプレハブ住宅を作り避難所から移り住んでいる。自治体などは居住に制限をかけたいらしいが、住民としてはたとえ危険だとしても住み慣れた土地が良いだろう。それに1000年に一度の津波ならば、今後の危険は狭まると考えたくなるのが人情というものである。
また集落丸ごとニュータウンへの移転が必要だとしても、全住民の合意を得るのは難しい。特にお年寄りは土地への愛着も強いだろう。元いた場所に住めないのならば復興はますます難しい。そうなるとある程度は旧市街を残しつつ、避難タワーのようなものをところどころに造ることになるかもしれない。いわば折衷案である。かつての後藤新平のような大風呂敷の復興計画は格好がいいが、現代ではもはや不可能な手法となってしまった。
復興国債を発行し、それらは他の国債と区別し復興消費税によって特別に償還するという案が与党内から提案される。国債の増発による日本国債の暴落を懸念した策である。消費税は期間限定で3%ほど上乗せされると言うが、たとえ償還されたところで元の税率に戻るとは誰も思っていない。信用されていないところは、先ごろ提示された原発安定化の工程表と同じである。増税は不可避だろうが、政治家や財務官僚にフリーハンドの裁量を与えるわけにもいかない。