6月18日・土曜

その昔往来にひどく不便なところがあり、禅海という和尚がノミと槌だけで岩をくりぬき路を造った。これが所謂青の洞門で、開通後は通行人から通行料を取り立てたというから、日本最古の有料道路である。高速道路の土日1000円乗り放題と地方路線の無料化がこの週末で終了する。復興財源を確保するためだが、そもそもそんなところに多額の税金を投入してきたこと自体がおかしな話である。通行にも通信にもお金がかかるのは当然であって、本来は一般道路も建設費に応じた通行料をとるべきであろう。一般道路が直接お金を取らないのは、料金集金人を一一配置できないからなのであって、決して国の気前がいいからではない。それに普通の路では飽き足らず、もっと早く着きたいという欲張りでせっかちな人の為に特別な路を造り、そこを通るたびに通行料金を徴収するのは、青の洞門以来当然の道理である。その道理に反する制度はもっと早くに取りやめるべきであった。
第一原発の汚染水処理装置が稼働し始める。まだよちよち歩きだが、何とか溢れだす前に間に合った感がある。処理費用は1リットルで数百円程度ということで、当初予想された金額よりは低額である。
一日曇り時時雨。気温低め。郊外電車に乗って鳳生大学の後輩の家にお呼ばれする。新居を構えたので引っ越し祝いということになろう。通算22本と23本目となる東北のお酒を持参したが、皆酒飲みなのであっという間に飲みつくしてしまう。酒の肴も足りなくなったが、幸い近所に蕎麦屋があり、電話番号を知らなかったので直接頼みに行く。もり蕎麦一枚に親子丼を半人前食べると、どういう訳か益益腹が減り、さらに冷奴や天麩羅や鴨せいろの蕎麦抜きなどを出前させるという牛飲馬食ぶりであった。酒を飲む際、つまみは最小限でよいというのは、酒飲みのある種のスノビズムとしてあるようだが、幸い我が同志たちは皆庶民派であるから、蕎麦でも飯でもまるで見境なくお召し上がりになる。散散飲み散らかして電車で上って帰ることになったが、土曜の上りの最終電車は思ったより早く、思いもよらない駅で危うく取り残されるところであった。