2月13日・月曜

御午過ぎの公共放送に他力と下山の思想を唱えている有名作家が出ていた。番組最後に視聴者からの質問に応える所があり、若い世代へのメッセージを求められたが、有名作家は暫し絶句し、絞り出すように出てきた言葉は、御気の毒、と云う物であった。曰く、人生の上昇期と社会のそれが一致した世代は幸運であったと。そうでない世代は、此れから益益厳しいであろうと。実に私も同意見だが、山にしろ坂にしろ緩やかに降りるのは難しい。其れに皆が降りよう降りようとしているのだから謂わば下山のラッシュアワーである。これから登ろうと云う若者を、下山の流れに巻き込んだりして谷底に落っことさない様にしなくてはならないと思った。その為に少し登山道を開けてやるのが年長たる者の務めである。尚二号機の温度計は遂に400度に達した。この段階で滔滔温度計が故障したと云う事になりこの件は一応の決着が付いた。
 午前中は晴れ。午後出社。貧乏学院の更なる転落を避けるべく寒い中チラシを入れて歩いた。二時間も歩くと足腰が疲れて仕舞い、授業をやっていても何だか頭がぼんやりする。授業中は立っているので流石に居眠りは出来ないが一旦座れば夢の中へ直通運転と云う感じであった。此れは丸で苦学生だなと思った。学校出の教える側も一向に生活が良くならない。だから金銭面で苦労しながら教える者を指し示す複合名詞も必要となろう。苦先生や苦教師では在り来りなので、何か良い造語は無いかと思案するも良い語は思い付かず。
退社後は立って飲むようなこともせず、缶詰を肴に樹脂壜入りの輸入焼酎を家で飲んだ。一升で千円也。お茶で割ったら案外行ける味であった。運賃未払いにつき東北急行も当面運休である。