5月31日・火曜

津波被災地で居酒屋が再開したとテレビのニュースが伝える。紙コップに紙皿での提供だが生ビールに焼き鳥もあった。こんな時期に再開してよいものかと店主はしきりに恐縮していたが酒場も重要な社会インフラである。私が店主だとしてもいち早く復旧させたに違いない。それぞれの立場でそれぞれの持ち場を守る。それが職業倫理というものである。
天気は晴れのち曇り。気温低め。火曜不出社。代わりにおばの入居施設に行く。震災以後2度目の訪問だから不肖の甥である。行く度に担当介護士が代わっており離職率の高さをうかがわせる。特に年寄りなどは十年一日のごとき時間感覚だから、慣れる暇すらなくあっという間の交代であろう。こういう交代がおばの混乱に拍車をかけているようだ。ちなみにおばは私をいまだに大学生だと思っており、何年生になったかと聞いてくる。適当に応えておくと将来が楽しみねと言う。私が大学生だったのはもう15年も前だから、今の私はその将来を生きていることになる。そして15年前には、想像もつかなかったような苦境がここにはある。
帰宅後梅の木を揺すって実を落とし、梅酒をつける。揺する係と下でシートを広げ実を受け止める係が2名必要だから一家総出の行事となる。両親は今のところ健在で有り難いことだと思うが、毎月のごとく何かしらの検査を受けているから、家族三人の共同作業も今年で最後になるかもしれないという気合で臨む。これは良き思い出、すなわち良き過去をつくる行為でもある。