決断について

「生き馬の目を抜く」「一寸先は闇」等々は、政治の世界を表現する慣用句ですが、政権交代以来のこの一年間を振り返ると、それら慣用句以上の激動ぶりだったなと、改めて思います。
前総理のブレもひどかった。そして、国民の期待が高かった現総理の現実路線=増税路線への転向がひどかった。ゆえに、一旦は過去の人になりかけたあの人の再登板を願う声も高まりつつあります。
特別会計の見直しや予算の組みかえは、政権交代のスローガンだったはずだけど、結局何も進んでいない。だから、あの人に短期間だけでも任せてみようかと…。いわば「汚い劇薬」を使いたくなる心情も正直わかります。でも、そもそもあの人は本当に劇薬なのだろうか?? 剛腕待望論には、あの人を過大評価する傾向も見られます。
それにしても、政治というヤツは、つくづく恐ろしいなと感じます。それはすなわち決断の恐ろしさでもあります。
「認識というものはできるだけ多面的でなければならないが、決断はいわばそれを一面的に切りとることです。しかもたとえば政治的な争点になっているような問題についての決断は、たんに不完全な認識にもとづいているという意味で一面的であるだけではなくて、価値判断として一方的ならざるをえない」(丸山真男
 この決断の苦しみというのも、広い意味で、日本という国が転換期にあることの証左でもあるのでしょう。その決断の時はすぐにやってきます。(もっとも私にその選択権はありませんが)