遅寝・遅起き・朝食抜き

 どこかの役所は、早寝・早起き・朝ごはんが、子どもの将来を明るくするなどと喧伝しているようだが、時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ない。早寝・早起き・朝ごはんが可能な家庭は今日そもそも少ない。まず母親(たぶん専業)が起きて、朝食(たぶん米飯)を作り、家族を起こし、そろって食べ、父親(たぶん正社員)や子どもを順に送り出すなどというのは、それこそ「サザエさん」の世界ぐらいなものであろう。
 社会はとうに24時間化しているのだし、労働者の勤務体系は複雑化し、仕事は以前よりずっと強化されている。夫婦共稼ぎは普通だし、ましてひとり親で子どもを育てている家庭も少なくない。
 この状況下で、遅寝・遅起き・朝食抜きになるのはむしろ当然であって、早寝・早起き・朝ごはんが、どうしてできないのかと言われても、それは、できないからできないと答えるしかない。どだい不可能な要求なのである。
家庭にばかり問題を差し戻さないで、遅寝・遅起き・朝食抜きでも、なんとか学校教育が成り立つように知恵を絞り、そして予算を割り当てるのが本筋というべきであろう。
親がきちんと子どもを送り出して、子どもは先生の言うことをよく聞いて、読み書き計算(たぶん百ます計算)に…などという昭和30年ごろのノスタルジーに浸っているほど、現実は甘いものではない。それともこれは、一種の現実逃避なのかなぁ??