商店街→シャッター通り→空き地通り

 職場の隣にある商店はだいぶ前に空き店舗になり、先日とうとう更地にされてしまった。元々空き店舗の多い商店街だったが、シャッター通りから空き地へといわば特段の進化(というよりも退化?)を遂げたというわけである。
私の住まいに近い商店街も、いつの間にか商店は減り、商店の一般住宅化が進んでいる。先だっても繁盛していたはずのスーパーが取り壊され、時間貸し駐車場になってしまった。新住民は、かつてここが商店街であったことなどもはや知る由もないような風情である。
 こうした変化に際し、一般的にはネットショッピングや郊外の大型店舗へ買い物客が移行し…云々というような解釈がなされるだろうが、これらは比較的都心部(東京23区しかも環状七号線より内側)の話である。
したがって私の見方はより深刻である。高齢化と人口減少はついに都心部にまで来たのではないか。年をとったならば買い物の量も減る。人口が減るのならば、文字通りひとの口が減る。それらに加えて、近年の購買力低下と物価下落という新種のデフレの影響もあるだろう。
従来は、古い店や住宅が取り壊され、チェーン店や新店舗になるというのが見慣れた変化だったが、このベクトルが反転しつつある。店舗運営や商売そのものが立ち行かなくなり、空き店舗や空き地や駐車場になる。その分地価は下がる。今度はいわば資産デフレが進むわけである。家賃が下がれば店子は喜ぶかもしれないが、これも経済縮小の証左であるとすれば、手放しで歓迎することもできないだろう。