胃が痛かったり食欲が出ない時は、胃が悪いという。足が思い通りに動かなくなった時は足が悪くなったという。でも、頭が痛い時に頭が悪いとは云わない。頭が悪いとは、頭の中の脳味噌の働きが良くない事を云うのであって、頭の形が歪であったり、脳のどこかの血管が詰まったりしている状態を指す訳ではない。つまり、頭が悪いとは頭の実体が良くない事を云うのではなく、頭の働きが宜しくないという現象を指す言葉である。
頭が悪い人なら何人も知っている。現にそういう人を相手に商売しているものだから、頭が悪い人に手を合わせて感謝こそすれ非難には当たらない。其れに頭が悪い人は、得てして性格的には素直で良い人も多い。
頭が悪いとは別に頭が可笑しい人も相当いる。恐らく、こういう人は実体としての頭の何処かに問題があるのだと思う。問題のある頭を懸命に動かしたとしても、矢張り上手くいかない。尤も頭の可笑しい人というのは、晴れているのに一生懸命傘を差したり、自分の影に向って国会の答弁の様な事をぶつぶつやっているから、大概一見でわかる。関わらなければよいので、そういう人を態態捉まえ来て、もっと勉強してその頭を何とかしなさいなどと文句を言う積りはない。そういう点で頭の可笑しい人は頭の悪い人と同様、大抵は公衆に無害である。
一番質が良くないのは、悪くない頭を持っていながら、その動かし方を間違えている人である。こういう人は、実体として実に立派な頭を持っている。それに頭の中味も人並み以上に動かしている。又一見して可笑しな所は無い。でも、その思考方法が間違っているので、とんでもない結論を平気で導き出す。そして最も面倒な事に、こういう人たちは世界で自分たちだけが正しいことを考えていると錯覚しがちで、しばしばとんでもない文句を垂れて来るのである。立派な頭を持っていながら頭の動かし方を間違えている人というものは何処にでもいるが、そういう人の可笑しな苦情や主張を一一真に受けてはならないと思った。
午前中は大雨。お午過ぎには止み次第に晴れた。午後出社。少し外歩きす。都立高校の入試終了。少し飲んで帰った。